Letter of OfferからTA、スタンプまでの流れは?
マレーシアの賃貸は、まずLetter of Offer(入居申込書)に署名して物件を仮押さえし、次に正式なTenancy Agreement(TA、賃貸借契約書)を交わし、最後にLHDN(内国歳入庁)のe-Duti Setemで印紙税を納めて完了します。この3ステップを踏まないと、契約は法的な証拠として使えません。
Letter of Offer(LOと略されることが多い)は「この条件で借りたい」という意思表示で、通常は予約金(Booking Deposit、家賃の半月〜1ヶ月分程度)を添えて提出します。ここでオーナー側が受諾すれば、双方はTAのドラフト作成に進みます。TAには家賃、契約期間、更新条件、そして駐在員に特に重要な「Expat Clause(外国人赴任解除条項)」などが盛り込まれます。TAへの署名が完了したら、契約日から30日以内にLHDNへ印紙税を納付し、スタンプ済みの証書を保管する——ここまでが一連の流れです。
SPEEDHOMEでゼロデポジット物件を探すなら、保証金に相当する頭金を用意せずにマレーシアの部屋に入居できるという選択肢もあります(対象物件のみ、審査あり)。日本の「敷金・礼金」文化に慣れた方にとっては、この頭金の軽さが最初の驚きになるはずです。
日本の「敷金・礼金」とマレーシアの頭金はどう違う?
日本の敷金は退去時の原状回復費用に充当され、礼金は返還されない謝礼金です。マレーシアには礼金に相当する慣行はなく、代わりに保証金(Security Deposit)と前払い家賃(Advance Rental)、光熱費デポジットの組み合わせが一般的です。
日本で賃貸経験のある方は、「敷金2ヶ月+礼金1〜2ヶ月」のような初期費用感覚をお持ちかもしれません。マレーシアでは礼金という概念自体が存在せず、その代わりに市場慣行として保証金2ヶ月分+前払い家賃1ヶ月分+光熱費デポジット0.5ヶ月分、合計およそ3.5ヶ月分の家賃が入居前にかかるのが一般的です(法律で定められた金額ではなく、あくまで契約書ベースの取り決めです)。敷金のように退去時に細かく原状回復費を差し引かれる点は共通していますが、「通常損耗(経年劣化や自然な使用感)」は差し引き対象にならないという原則もマレーシアの契約に共通します。
| 項目 | 日本の慣行 | マレーシアの慣行 |
|---|---|---|
| 敷金に相当するもの | 敷金(1〜2ヶ月、原状回復に充当) | 保証金 Security Deposit(目安2ヶ月、未払い家賃・損傷に充当) |
| 礼金に相当するもの | 礼金(1〜2ヶ月、返還なし) | 該当なし(マレーシアに礼金の慣行はない) |
| 前払い家賃 | 通常は初月分のみ | 前払い家賃 Advance Rental 1ヶ月分が一般的 |
| 光熱費保証 | 敷金に含まれることが多い | 光熱費デポジット0.5ヶ月分が別立てのことが多い |
| 契約の法的裏付け | 借地借家法 | Contracts Act 1950(契約法)+TA本文。専用の賃貸住宅法は2026年時点で未施行 |
Letter of Offerに署名するとき、何を確認すべき?
LOは法的拘束力を持つ場合があるため、予約金の金額と返金条件、TAへの移行期限、そしてキャンセル時の扱いを署名前に必ず確認してください。
LO段階での予約金は、TA締結後に前払い家賃へ充当されるのが一般的ですが、借主都合でキャンセルした場合は没収されることが多いという点は押さえておく必要があります。口頭の約束ではなく、LO自体に条件を明記してもらうことが重要です。物件を仲介会社経由で探している場合は、LOの段階でオーナー側の身分確認(登記情報など)が取れているかも確認しておくと、後のトラブルを防げます。
Tenancy Agreement(TA)で必ずチェックすべき条項は?
家賃・契約期間・更新条件に加えて、駐在員には「Expat Clause(早期解約特約)」の有無と発動条件が最重要です。会社都合の転勤・帰任時に違約金なしで解約できるかどうかがここで決まります。
Expat Clause(Diplomatic ClauseやCompany Clauseとも呼ばれます)は、雇用主からの転勤・契約終了・査証取消などを理由とする早期解約を、一定の予告期間(1〜3ヶ月が実務上多い、ただしTA次第)と引き換えに認める条項です。マレーシアには早期解約に関する法定ルールがなく、この条項がTAに入っていなければ、契約期間中の解約は違約金の対象になり得ます。日系企業の駐在員契約であれば、会社側の総務・人事担当者がこの条項の挿入を交渉してくれるケースが多いですが、個人で契約する場合は自ら交渉して盛り込む必要があります。
その他にチェックすべき主な条項は次のとおりです。
- 更新条件(自動更新か、再交渉が必要か)
- 修繕義務の分担(設備故障時にオーナー負担かテナント負担か)
- 又貸し・ルームシェアの可否
- 保証金の返還条件と返還までの期間(TAの記載が拘束力を持つ)
印紙税(Stamp Duty)はいくらかかる?
2026年時点の印紙税はFinance Act 2024の税率表に基づき、契約期間に応じて年間家賃RM250ごとにRM1/RM3/RM5/RM7が課されます。2025年1月にRM2,400の非課税枠が撤廃されたため、少額の家賃でも初日から課税対象です。
以前は年間家賃RM2,400までが非課税でしたが、この制度は撤廃済みです。目安として、契約期間別の税率は次のとおりです。
| 契約期間 | RM250ごとの税率 |
|---|---|
| 1年以内 | RM1 |
| 1年超〜3年 | RM3 |
| 3年超〜5年 | RM5 |
| 5年超 | RM7 |
参考の試算例として、月額家賃RM2,500の物件を2年契約(税率RM3)で借りた場合、年間家賃はRM30,000、RM250単位で120口分となり、印紙税はおよそRM360になります(実際の金額はご自身のTA記載額で必ず確認してください)。
どこで、いつまでにスタンプすればいい?
印紙税の納付は、2026年1月にSTAMPSポータルに代わって導入されたLHDNのオンラインシステム「e-Duti Setem」(mytax.hasil.gov.my)で行います。TA署名から30日以内が納付期限です。
手続きの流れは、MyTaxにログイン→ e-Duti Setemメニューでテナンシー契約を選択→ 家賃額・契約期間・当事者情報を入力→ 査定された印紙税を支払う→ スタンプ済みPDFをダウンロードして保管、という順序です。期限内にスタンプしていない契約書は、紛争時に証拠として法廷で使えないため、たとえオーナー側の手続きが遅れている場合でも、テナント自身がMyTaxにログインして代わりに手続きすることも可能です。
印紙税や契約書作成費用は誰が負担するのが一般的?
慣行として印紙税や契約書作成費用はテナント負担とされることが多いですが、これは法律で定められたルールではなく交渉次第です。TAに明記されていない場合は署名前に必ず取り決めておくべきです。
マレーシアの賃貸市場では、テナント側が印紙税と契約書作成費(ドラフト費用、目安RM200〜RM800程度)を負担する慣行が一般的です。ただし、これはあくまで市場慣行であり、法律上の義務ではありません。オーナーが仲介会社を通さず直接契約する場合など、負担割合が交渉で変わることも珍しくありません。金額や負担者について曖昧なまま署名すると、入居後のトラブルの種になるため、LOの段階から書面で確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
Letter of OfferとTenancy Agreementの違いは何ですか?
Letter of Offerは入居条件についての意思表示で、予約金を伴う仮契約的な位置づけです。Tenancy Agreementは家賃・契約期間・Expat Clauseなど詳細条件を定めた正式な契約書で、署名後にLHDNでの印紙税納付が必要になります。
印紙税を払わないとどうなりますか?
未納付のTAは紛争が生じた際に法廷で証拠として認められません。また期限(署名から30日)を過ぎると、未納税額に対して延滞金が加算されます。テナントとオーナーどちらの利益のためにも、期限内の納付が重要です。
Expat Clauseは必ず契約に入っていますか?
いいえ、自動的に入るものではありません。マレーシアには早期解約に関する法定の権利がないため、Expat Clauseが必要な場合はTA交渉の段階で明示的に要求し、書面に盛り込む必要があります。
敷金(保証金)は退去時に全額返ってきますか?
未払い家賃や通常損耗を超える損傷など、証拠のある差し引き分を除いて返還されるのが原則です。ただし返還までの期間や手続きは法律で定められておらず、TAの記載内容が基準になります。
印紙税はどこで支払いますか?STAMPSポータルはまだ使えますか?
2026年1月以降はLHDNのMyTax内にあるe-Duti Setemが唯一の手続き窓口です。旧STAMPSポータルは廃止されているため、古い情報を参考にしないよう注意してください。
ゼロデポジットを使えば印紙税も不要になりますか?
いいえ、印紙税はTAそのものに課される税金であり、保証金の有無とは別の手続きです。SPEEDHOMEのゼロデポジットは保証金相当の頭金を軽減する仕組みであり、印紙税の納付義務は通常どおり発生します。
契約書の細かい条件確認や印紙税の試算に迷ったら、まずはマレーシア賃貸完全ガイド(日本語版)で全体の流れをおさらいし、敷金・保証金ガイドで頭金の内訳を確認し、早期解約が気になる方は早期解約とExpat Clauseの解説もあわせてご覧ください。